WEEKLY NEWS 1st-2
公演へ向けてクリエイションを行っているアーティストへ毎週、プログラム・ディレクターの横堀とクリエイション現場に立ち会っている国内ダンス留学@神戸4期生の振付家コース、中島由美子がインタビューを行います。
今回は第1弾。
ぜひご覧ください。
1.川口隆夫
横堀(以下、横):クリエーションに参加されて4日目ですが、そのなかで最も印象的だったことは何ですか?
川口隆夫(以下、川口):クリエーションの中で最も印象的だったこと…んーと、んー…そうですね、今はお互いにインタビューをし合っていてたりとかってしていて、それがで、その中から、どのようにういう風にそのインタビューが発展していくのかんだろうっていうところを…が、これからが楽しみだなとは思う。…で、動きに関しては、まだ何かエクササイズ段階だと思うから、それを…そここからどんなことがね、どうこう、手に入れられるかんだろうっていう感じ。まあだから、色んな種を撒き始めたってところじゃないかなぁと思うんだよねいます。
横:インタビューの中で、印象的だったことって何かありますか?
川口:あ、えっとー…僕はね、なんかインタビューやってたなぁって思ったんだよねぇ。こう、他の人のが、インタビューで聞き出したところがことっていうのが、割とこう、あー、なるほど、そういう風そのようなところに興味を持って聞いていくのんだなぁって思った感心したのは。例えば、、だから例えば、あなたがコンテンポラリーダンスをしていく、あ、コンテンポラリーダンスを、こう、やって体験していく中で、それがこう、マレーシアの現状をそのようにこう、反映していく…しているのではないか、っていうような。、そういう視点に基づいて、こう話を切り込んで行こうとしているとかっていうのが、ちょっと、わっ!あっ、なるほどねぇっとかって思う。僕はこう割との…こう卑近なところで質問はが、こう、射程距離が短い感じがして、ちょっと、困ったなぁって感じ(笑)。そう…もうなんか、まあそれをやっていく中で割と、えーっと、また、共通の興味やを、関心を持っていることが、っていうのが出てきたりとか。するとやっぱりこう分かると、その人との距離がグーッて縮まるなぁって思ったりしました。とか。初めて、昨日、即興のセッションをする…昨日舞台上で行ってやって、あのー…あっ、はじめて、こんなにもこんなにこう息が合うのも珍しいなって思うくらいに、面白い瞬間がポロポロポロポロッて続いて出てきたことがありましたって。でも、ー…これは、いいよねー、楽しいよねーって言ってたら、こう、楽しく行き過ぎるのは、マッチングが良すぎるのも退屈かもしれない、つまんなくなるかもしれないっていうこともあって。で、ハウニェンがそんなことを言うので、あーそっか、それもそうだなぁ
って思いつつ、こう、落ち着く…何だろう、座りのいいカップリングっていうのだけでも、やっぱダメなのかなぁって。ただ、まあでも、まあ始まりとしては、結構楽しいセッションだったし、いいのかなぁって思いますねいいんじゃないかと。あんなにもあんなに若いのに、こんな風にこう、何て言うのかな、こう、受け応えができるってすごいなぁって思ったりもしましたね。んー、そう、そんな感じです。!
2.砂連尾理
横堀(以下、横):クリエーションが実質始まって4日くらい経ってるんですけど、砂連尾さんは参加2日目ですね。クリエーションの中で印象的だったことはなんですか?
砂連尾理(以下、砂連尾):お互いがインタビューをし合うことに時間を結構取ったことですね。お互いにとって英語は母国語ではないですが、英語を使って名前から、今までのキャリア、またどういうことに関心を持っているか等を話し合いました。バックグラウンドが違うからこそ、ハオニェンから提示された「ジャーナリストになってインタビューして」という作業を行ったことで相互理解が深まり、お互いの気持ちがほぐれ合ったように感じます。それは、一緒にご飯を食べに行くのとはまた違った意味でお互いの距離を縮め、また同時に、その作業が自分のダンス観も問われるような時間になりました。
横:具体的に一つ、例を挙げてもらってもいいですか?
砂連尾:今日は3人に質問を10分ずつ行って、その時間が終わった後にもう一度この3人の中から、再度、最も質問を投げ掛けたい人を選ぶという時間を持ちました。そうしたところ、僕がソープヒップの話を聞きたいと思っていたのですが、ソープヒップも僕の話が聞きたいということだったのでお互い、先の質問をより突っ込んで聞き合いました。僕はソープヒップのような伝統舞踊をずっと取り組んでいた人が、コンテンポラリーのアイディアに出会った時に、非常に良い側面と何か悪い側面の両方が同時にあるんじゃないか、と思って聞いてみました。古典を取り組んでいた人にとって新しいアイデアであるコンテンポラリーなことをやることは自由になれる分、何か弊害はないのだろうか?と思って聞いてみたのですが、彼に「悪いことは何もない。」と即答されました!もうちょっと深く聞いたほうが良いのかな、と思い、「じゃあ、カンボジアでは普段、古典の指導やパフォーマンスでどれくらい稼いでいるの?」と聞くと「これぐらい。」と。「それでは、同じことを国外で行ったらその稼ぎはどうなるの?」と、ちょっとドキドキしながら聞いたのですが「まあ、これぐらい。」と言って提示された額はカンボジア国内よりは多かったですね。国外で仕事することによって、良いペイを貰えることは彼にとってとても良いことだと思うのですが、、踊りや自分の身体がお金に換算されてしまうという感覚が、以前より増えているのではないかというところまで突っ込んで聞いてみたかったのですが、そこまでは今日は聞けませんでした。そこで、気になってカンボジアの状況をハウニェンに聞いてみたのですが、2009年に初めて彼がカンボジアに行ってから、この5〜6年で社会状況は随分変化しているそうです。高層ビルの工事現場も増えていたり、その影響で、なんか空気も悪くなっているらしく、最近では人の動きも随分忙しくなっていると言っていました。プノンペンの人達も以前はもっとゆっくりでのんびりしていたそうです。グローバリズムの流れによってカンボジアの都市の風景や人の様子には良くも悪くも大きな変化をもたらしているようですが、その流れと共に入ってきたコンテンポラリーダンスという発想は今のところ、ソープヒップにとっては、より自由な発想に触れる機会となり、彼自身がどんどんと成長させられてると感じがしていることはどうやら間違いなさそうです。また「コンテンポラリーダンスは古典を実践していく上でも何か影響してるの?」って聞いたら、「古典を解釈する上でも、よりクリアになっていった」と答えていました。その話しを聞きながら彼の今の心境は、僕が始めてニューヨークに行った時に感じた、毎日のレッスンや舞台観賞を通して、急に世界が広がったいった時期のことを思い出させました。個人的な問題意識として、グローバリズムや資本主義というものが、ダンスや身体(しんたい)というものの捉え方にどのよう
な影響を与えているのかということに関心があります。今回のこのプロジェクトで、カンボジアのような経済が今から発展する国にいるアーティストに、マレーシアのような既に資本主義が浸透している国にいるアーティスト、そして高度成長を経て後期資本主義に突している日本のアーティストが関わり合いことを通して、それぞれ置かれている経済状況というものが、ダンス観とか、それぞれの身体にどのように影響を与えているのか、そんなことを考え始めるキッカケになっているのかなぁと思っています。
コメント